僕がカナダで暮らす決意をした一番の理由それは…
"白人女性が好きだから”
無論、白人女性が居る国はカナダだけではないし、カナダを選んだ理由としては他の国々に比べて永住権が獲得しやすかったり経済状況が比較的安定しているというのも理由にあるのだが、何故?と問われればその全てに僕はそう答えてきた。
いつなんどき、誰に対しても僕は同じ答えをぶつけてきた。
その殆どは「お前は面白いやつだ」と笑われるのだが、中には妙に納得する人もいれば、大きく賛同してくれる人もいたりと様々なリアクションを得てきた。
一般的な視点から見る 誰もが納得するであろう理由を作る事は簡単にできる。
が、そこで自分を偽る必要も理由も僕にはない。
「そんな理由でカナダへ行くのか?」「いくらなんでもそれは軽々しく不純だ」と出国前に幾人かに言われたのだが、どこに重きを置くか、その価値観は人それぞれであり、 意見を賜れるのは嬉しい事だが強要するものではない。
"大半の人が選ぶ道"が自分に取ってベストなのか、それともその逆が正しい選択となるのか。
答えは、選んでみないと分からない。
だからこそ、自分にとって重要な選択を迫られた時、他人の意見に振り回されるのではなく"自分の答え"を導き出したい。
そう、そして僕にとっての The Answer それが "白人女性” なのだ。
これから明かすこのお話は、僕と1人の白人女性との恋の始まりの物語……
彼女の名前はアンナ。
彼女のバックグラウンドはスイスとスコットランドのミックス。
美しい栗毛色のロングヘアーに吸い込まれる様なグリーンの瞳。
凛とした彼女の表情からは揺るぎない意思の強さが伺える。
そして身長170以上はあるであろう長身に加えNice Ass!
どこからどうみても生粋の白人である。
そんな彼女との出会いの場は、ナイトクラブ。
DJが音楽によって解放的な空間を作り、ダンスと音楽の楽しさを人々が共有するパーティー。
中には異性関係を目的とする人も少なくはないのだが、それは僕の ”楽しみ方” に反する。
これは男性だけに限った事ではないが、好みの異性と知り合えるという事は最高に心躍るハプニングになるのは間違いない。
が、僕のジンクスからすると「No Fun No Gain」つまり自分が楽しんでいないのに、そこで何か(ここで言う所の異性の相手)を得る事など到底できやしない。
※人並み以上に容姿に優れている人は話は別です。
なので、異性の相手を見つける事は二の次!
主となるのは、自分の好きなDJのプレイや音楽、ダンス、仲間達とその場を楽しむ事である。
もしかしたら素敵な人に出会えるかもしれない……そんな淡い期待を心の片隅にそっと置いておく程度でいい。
間違っても「その誰か」を探して回ってはならない。
そしてこの一年半、僕は自分のジンクスに従い、いつか現れるであろうと信じて止まなかった”その誰か”と知り合う事ができた。
そこは、DJブースの中央目の前……
後ろを振り向くと楽しそうに踊っている1人の女性がいた。
あまりに気持ち良さそうに踊っているもんだから、なんだか僕も楽しくなってつい彼女を見て笑ってしまった。
すると彼女も僕に気が付いたのか、彼女も僕を見て笑い出し「あなた何で笑ってるの?」と嬉しそうに僕に抱きついてきたじゃありませんか。
お互いを笑い合って嬉しくなってハグをする……
通常こんな事はあり得ない事だが、時にクラブという空間は、通常なら失礼ともとれる行為すら楽しく感じてしまう事がある。
そしてしばらく彼女とダンスを楽しみ、それ以上お互いに歩み寄る事なくその場を離れていった。
それでいい。
それでいいんです!
そこでしつこく付き纏ってはならない。
楽しく踊っているのだからそっとしておいてあげましょう。
そして自分も楽しく踊ろうじゃありませんか。
そこで離してしまったらチャンスを逃すかもしれないって?
大丈夫。
チャンスは必ず訪れる。
それが気になる相手であれば、意識をせずとも、既に心はその人を探してしまっているのだから。
ダンスに疲れて休憩している合間、お酒を買いにバーで並んでいる瞬間……
そして帰り際!
僕はまたその人を見つけてしまった。
「Heyyyy! I met you! remember ?」
と軽やかに声を掛け、そして再び僕らはハグをした。
良いパーティーだったね!今夜は本当に楽しかった!と。
このハグ(抱き合う)というのはソーシャルな場ではとても重要。
そして、気になる異性の相手を見つけたら遠慮なく声をかけてみる。
日本では淫らな行為と蔑まれるかもしれないであろうこの行為。
欧米では至って自然な事であり、寧ろこれがないと男女の関係以前に人として自分に興味がないんじゃないか、と思われてしまっても不思議じゃない。
自分の喜びや気持ちを、体や言葉を使って相手にストレートに伝える。
日本とは真逆の文化がそこには存在する。
が、ここからはちょっとしたサプライズが僕を待っていた。
「ねぇ!あなたの番号教えてくれる?」
正に僕が今尋ねようとしていた事を彼女の方からしてくれたのだ。
「もちろんさ!」
サッと携帯を差し出す。
その様は、ガンマンが銃を抜くそれよりも速かったに違いない。
お互いに番号を交換したら…
最後にもう一度ハグ!
ちょっぴり別れを惜しみつつ、そして僕らは各々帰路についていった。
そして、一言メールを入れておく。
「今夜は最高の夜だった。また近いうちに ”遊ぼう” ね!Sweet Dreams! 」
おそらく…いや、メールをすれば100% 返事はもらえるだろう。
なぜならこれ以上コンタクトを取る気がないのなら最初から番号など交換していない。
しかし間違ってもここで ”会いたい” などの恋愛の空気を漂わせるフレーズを使ってはならない。
あくまで、お友達として。
嘘でもいいからそれを振る舞う事が大切。
なぜかって?
この時点で大なり小なり相手も自分を意識してくれている可能性が十分あり、また追い掛ければ相手は逃げる。
この辺りは国の文化というより、男女間の駆け引きという事になるかもしれないが、あえて欧米では、という言い方をさせてもらうと、欧米の恋愛というのは一般的に "友人関係から始まる恋愛” が重要視される。
が、アジアと欧米の大きな相違点、それは、その友人関係の中に ”体の関係も含まれる” という点である。
では説明しよう。
これは一体どういう事かというと、我々日本人の恋愛の観点から紐解いていくと、一般的に日本では友人関係=体の関係はあり得ない。
無論例外はいくらでもあるが、一旦完全に友達関係だという認識をお互いに持ってしまうとなかなかそこから恋愛関係に移行しづらくなる。
なぜなら、お互いに ”友達” という認識をもって関係を決定付けてしまっているのだからというのは言うまでもない。
「夏の日の1993」の歌詞からも伺える様に、どこかでハプニングが起こらない限りそれが揺らぐ事はない。
男女の関係、つまりカップルになるまでに「友達」という建前を作ってしまうとそこで通行止めになってしまっても不思議ではない。
つまり我々日本人の恋愛の観点からいくとカップル成立までに「友達」という呼称を使ってはならない。
それは「そこには恋愛感情がありませんよ」というフィーリングが生まれ兼ねないからである。
そして一般的に、アジア人女性の多くは、カップル成立までに体の関係を持つ事を嫌う習性がある。
が、欧米ではこれが真逆。
欧米では「友人関係」という認識を持つ事、そして最初にそう建前付ける事が大切。
しかしそれはあくまで「恋愛というレール上にある友人関係」を指し示すものであり、更にはカップル成立までに体の関係を持つ事は当たり前!
お互いが本当に愛し合える関係を築けるのか?
体の相性はどうなのか?
それは異性としての相性を確かめ合う為のお試し期間なのである。
そしてそこから時間をかけて少しずつ関係を深めていき……
カップル成立!
少しドライに感じてしまうかもしれないが至って合理的な考え方ではある。
なので、あたかもカップル “同様” の付き合いをしていても、カップル ”成立” という枠組みに入る迄、それは「恋愛の上にあるお友達」なのである。
近づき過ぎず、離れ過ぎず、けれどもやる事はしっかりやる!
セックスしたいんだからあなたとセックスをするのよ!当然でしょ?
と、こういう事になる。
アジア人の恋愛観からすれば、相当頭を柔軟に働かせないと困惑しっぱなしになってしまうだろう。
しかし、これが一般的な欧米の恋愛のスタイルになる。
なので、女性から積極的にアプローチをしてくる事も珍しくなく、僕が彼女と出会った次の日……
「あなた今夜なにしてるの?」
と彼女から一通のメール。
もちろん僕の返事は決まっている。
「今夜は何の予定もないよ。どうしたの?」
そして彼女の返答。
「今夜、良かったらディナーでもどう?」
まさかの彼女からのお誘い……
しかし相手はオープンなカナダ人。
フレンドリーに食事に誘うくらいなんら不思議な事ではない。
彼女の趣味や仕事、家族の話やもちろんどんな男性が好みなのか等、それはもの凄く充実した時間となった。
と同時に自分の英語力の足りなさを改めて実感した。
それでも今の自分なら英語を喋れます! とハッキリ人に言えるだろう。
それだけ英語でコミュニケーションをとれる自信があるし、実際今もそうしている。
しかし、英語圏の人々とより関係を深め、同等の関係にまで持って行く為には今の英語力ではまだまだ不十分。
なぜなら英語圏のネイティブ同士の会話となると、スピードや言葉の表現がまるで違う。
しかも母国に住む彼等はもともと人に対してあまり遠慮をしない性質がある上に僕の暮らすバンクーバーでは英語の達者なアジア人も多くいる為、ネイティブ同士が話す会話のレベルで接してくる。
もちろん僕だって彼女に「もう少しシンプルな英語で話してもらって良い?」
と、3回お願いしたにも関わらず、全くスピーキングレベルが変わらない。
会話のスピードはそのままでもなんとか聞き取る事はできる。
それよりも寧ろもっとベーシックな表現を使って欲しい。
ネイティブイングリッシュスピーカーの英語の表現は僕らが学校で習うベーシックな形式の英語とは全く違う。
ベーシックな英語、つまり正しい英文法に乗っ取った喋り方に忠実なネイティブなどまずいないし、各々の喋り方というものがある。
こればかりは学校で学べるものではないし、実際に英語圏で暮らしてみないと身につけるのは難しい。
この一年半カナダで暮らして大分ネイティブの英語にも慣れてきたつもりだが、それでもまだまだ足りない。
ネイティブと比較したら足りなさ過ぎる。
そして、挙句の果てに言われた一言。
「ごめんなさい。私どうやってあなたに合わせて喋ったら良いのか分からないわ」
英語圏以外の国の人との会話になれていない母国で暮らす欧米人にとっては、どうしたら分かり易く喋れるのか分からないのだろう。
でもまぁそれはそれで良しとしよう。
僕の目標はネイティブの言葉を100%理解して限りなくそれに近づく事にあるのだから。
それでも彼女は楽しいと言ってくれるし、僕との時間を退屈そうに感じてる様にも思えない。
そして次の日の夜、また彼女から連絡が来た。
「今夜も時間空いてる?」
その日はたまたま友人と出かける予定があったので、僕はそう答えた。
すると彼女は僕にこう言った。
「じゃあ予定が終わったら連絡ちょうだい?」
“彼女は何を思って僕に接してくれているのだろう”
この時点で僕は少しコンフューズしていた。
自慢じゃないが僕はこの一年半、チャンスがあれば出来るだけ白人女性にアプローチをしてきた。
が、どれも全滅。
その理由をいくつか察するに、まずアジア人男性である事、そして英語が不十分。
欧米人女性からしても、アジア人男性に対して差別意識があるわけではない。
しかしアジア人男性、特に日本人男性は欧米人に比べて体が小さい。
体の大きな欧米人と比較してしまうと男らしさにかけるのは最もであり、欧米人女性もそれに比例して体が大きい為、体の小さいアジア人男性が恋愛対象外と見なされてもおかしくない。
しかし、ここで諦めるのはまだ早い!
彼女達が求めるもの…それは
「面白さ」
会話を面白可笑しくさせてくれる人かどうか…これもかなり重要なポイントになる。
しかし英語の下手な日本人男性。
一体誰が相手にしてくれるというのだろう?
これが英語を母国語並みに扱えればいくらでも笑わす自信が僕にはある。
しかしながら中途半端な僕の英語力では自分のポテンシャルをせいぜい50%程度しか引き出せない。
それに対して彼女は高身長でセクシーな白人さん。
年齢も29歳とほぼ同年代にも関わらず、童顔な自分と比べるとかなり大人っぽく感じるし、2人並んであるけば完全に不釣合いな事請け合い。
そんな自分に対して一体どんな気持ちで接してくれているのだろうか…と不思議で仕方がなかった。
文字通りただの友人としてなのか、それとも……
僕はこれ以上深く考えるのを止めた。
考えたって答えなど出ない。
用事が終わったら連絡してくれと言っているのだから連絡すればいい。
そしてまた会ってみれば答えが分かる。
夜も1時を過ぎていたが、友人と別れて彼女へ連絡をするとすぐに返事が返ってきた。
「もう遅い時間だけど疲れてなかったら、うちに遊びに来ない?」
断る理由などあるはずがない。
僕はOKの返事をしてすぐに彼女の家に向かった。
彼女の家に着き、ドアを二回ノックする。
彼女はドアを開けて笑顔で僕を招き入れてくれた。
しかし昨日とは打って変わって口数の少ない彼女。
淡々と話をする彼女からは知性と品性に満ちた大人の印象を僕に与えていた。
そして小さなスピーカーから流れるコンテンポラリーなミュージック。
淡いグリーンで彩られた本棚に、その年代を感じさせる古めかしい木造りの机と椅子。
彼女がデッサンしたであろうスケッチと緑の観葉植物達の組み合わせがアンティーク調の空間をより引き立てている。
部屋の中に無数に置かれたいくつものキャンドル。
その小さな炎の明かりが彼女のシャープな横顔をそっと照らす。
キャンドルの明かりで作り出される陰影は、白人の持つ造形美とも言える美しさにミステリアスな印象を付加させていた。
別世界の様にも感じるこのアーティスティックな空間に佇む彼女の姿を見ていると、それはまるで映画の1シーンの中に放り込まれた様な感覚に捕われてしまう。
このシチューションに辿り着く迄にかかった所要日数、およそ500日。
これまでに何度挫折を味わってきた事か。
もう無理なんじゃないかと何度も諦めかけてきた。
この1年半で日本人男性と白人女性のカップルを見た事など、記憶にある中でたった2組!
が、その逆はいくらでもある。
憎たらしいくらいいくらでもある!
次こそは…とその言葉を自分に言い聞かせ、なんとかモチベーションを維持してきた。
言い方は悪いが、白人でも人を選ばなければそんなに難しい事ではなかったのかもしれない。
白人女性に強く興味を抱く日本人男性が断然少ないのも理由にあるのかもしれないが、それにしても敷居が高いのは否めなかった。
その憧れの白人さんが今、目の前に居て、自分だけに向けて話をしてくれている。
そこで僕は自分の想いの内をすべて彼女に話した。
白人女性にどれだけの憧れを持ち続けてきたのか。
そしてやっと手に入れる事のできた白人である君というこのシチュエーション。
正にそれは自分の夢が叶ったのだと嘘偽りの無い自分の本音を彼女に話した。
話が終わると彼女は立ち上がって僕に言う。
「私、明日の朝早いからもう寝るけど、今晩うちに泊まってく?それとも帰る?」
彼女の言葉に一瞬戸惑ったが、僕は答えた。
「君が迷惑じゃなければ泊まっていこうかな」
含み笑いを見せる彼女。
それはまるで大人が子供をからかうかの表情をしている様に見えた。
「私はベッドで寝るけど、そこのソファなら空いてるわよ?」
それを聞いて思わず笑ってしまった。
「まったく面白い冗談だね」
そして彼女は僕に言う。
「一緒に寝てもセックスはしないわよ?」
あまりにストレートな彼女の言葉に僕の心は少し動揺したが、それを隠すかの様に静かに頷く僕。
そして仲良くベッドインする事になった。
「good night」
お互いに夜の挨拶を小さな声で囁き合う。
僕の隣には夢に迄見た白人女性がそっぽ向けて横になっている。
僕と彼女の間にもはや距離と呼べるスペースはなく、少し腕を動すだけで簡単に彼女に触れてしまう事ができる。
明日、早起きしなければならないという彼女を労ってか、僕は身も心も寝る体制を整える事にした。
シーンと静まり返るベッドルーム。
明かりを消すともう何も見えない。
ただ、彼女が隣に寝ているという緊張だけがそこに在る以外は。
「おやすみ」と告げたにも関わらず、彼女は時折寝返りを打ったりとなんだか落ち着かないらしい。
すると急に彼女は僕の方に向き直り、そして尋ねた。
「ねぇ、どうしてあなたそんなに静かなの?」
一体僕にどうして欲しいのか、もうこれ以上彼女の気持ちを探る必要も尋ねる理由もない。
僕は何も答えずそっと彼女の唇に自分の唇を重ね合わせた……
翌朝、目が覚めるとまだ夢見心地な僕に彼女は言った。
「おはよう。良く寝れた?」
僕は答える。
「隣の白人美女が気になってあまり良く眠れなかったかな」
彼女は小さな笑いを僕に見せた。
「私はアンナ。もう白人だなんて言わないで」
僕が何かを言い返す前に、彼女は優しく僕にキスをした……
これで自分に掲げていた目標はある意味で達成されたのかもしれない。
それならば次に掲げる僕の目標、それは…
"彼女と真に分かち合える関係を築き上げる事”
そこに辿り着く迄に言葉や文化の壁は時に大きな障害と成りうるかもしれない。
しかし互いに理解し合う気持ちを忘れなければそれは決して無理な事ではない。
だって僕らは同じ ”人” なのだから……
【あとがき】
今でも憶えています。僕がいつから白人さんに興味を持ち始めたのか。それはまだ僕が23歳の頃、その当時お付き合いしていたガールフレンドが海外のカルチャーやファッション、ダンスミュージックに強い関心があった事がキッカケでした。彼女から受けるインスピレーションはその当時の僕からしたらすべてが新しかったのを覚えてます。女性としても魅力的な人であり、また人として「カッコいい」と感じてしまう魅力も持ち合わせていましたね。結局その二年後に彼女はロンドンに留学に出てしまったので別れる事になってしまいましたが、今頃どうしてるのかな、と時々考えてみたりもします。いつか会う機会があったら見てみたいと思います。その彼女が今どう成長しているのかを。
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